2005年度(第11回)吃音ショートコース案内

テーマ:笑いの人間学

日程:2005年10月8(土)・9(日)10(月/振休) の3日間
会場:滋賀県 ソフィウッド
費用:一般参加者 33,000円
   (研修費、2泊3日の宿泊・食事を含む全ての費用)

〜この企画は終了しました。以下は、ご参考にお読み下さい。〜

井上宏『笑い学のすすめ』(世界思想社)より引用

 
 真面目に仕事をする、勉強をするということは、大事なことであるが、これだけが強調されると、ユーモアを欠いてしまう。一方では、自らの真面目さを笑うゆとりも必要なのである。
 教育や医療や介護、ビジネスの現場で、笑いとユーモアが取り入れられていくと、教室も病院も職場も、もっと明るく楽しいものに変えていけるはずだ。

 私の受けてきた教育は、「笑われる人間になるな」というかけ声で急き立てられるものであった。「笑われたら恥」という教育があり、そこではいつも笑いは遠ざけられた。今でも「笑われる」ことへの警戒心は強い。ちょっと笑われただけで、立ち上がれないほどのショックを受ける人がいる。
 笑いを恥の概念から解き放ってやらなければならない。笑いとユーモアは、個人を解き放ち、仲間とのコミュニケーションに心地よさを残す。

 昨今の世相は、何か気に入らないことがあると、すぐに暴力と短絡する。「カッとする」「むかつく」とゆとりをなくしてすぐに喧嘩となる。暴力沙汰になって果ては殺し合いになる。
 笑いとユーモアは、暴力と対極にあるものだ。意見が対立していても両者が笑ってしまうと、喧嘩には発展しないものである。笑ったからといって何もかもがうまくいくわけではないのはもちろんだ。でも、笑いがなければ、緊張はとけず息がつまるし、心にゆとりは生まれない。自覚と反省の芽も生まれない。

 人間は、「笑う存在」なのだが、私たちはまだその「笑い」が秘める可能性に目覚めていない。眠らされてきたというべきか。「笑い学」が私たちを縛っている鎖を解き放ち、自信と誇りをもって、おおらかに明るく生きていく糧となればと願うところである。
 

《講師》
井上宏 関西大学名誉教授、日本笑い学会会長
 京都大学文学部哲学科社会学専攻卒業後、読売テレビ放送入社。
 1973年に関西大学社会学部へ。1981年、社会学部教授。1994年から総合情報学部教授。2003年4月より関西大学名誉教授。
 1989年フルブライト招聘教授として米国ロックハースト大学客員教授。
 1994年「日本笑い学会」設立。1999年から3年間、大阪府立上方演芸資料館ワッハ上方館長。2001年から2年間、国際ユーモア学会理事。
 ◎井上宏さんの笑いに関する著書
  『笑いの研究〜ユーモアセンスを磨くために〜』(フォー・ユー)
  『笑いが心を癒し、病気を治すということ』(素朴社)
  『大阪の笑い』(関西大学出版部) 『笑い学のすすめ』(世界思想社)
  『笑いは心の治癒力』(海竜社)  『笑いの人間関係』(講談社現代新書)など



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