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あ |
アノーアノー どもらぬ瞬間 探しつつ |
タイミングを計りながら話すので、「アノー、アノー」が口癖に |
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い |
言えなくて 泣いた思い出 今は糧 |
こんな実感が持てるのも、どもりのお陰 |
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う |
嘘をつく どもりたくない 一心で |
とっさに「知りません」「分かりません」と言うときは、何故かどもらない |
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え |
選べない 言うべき言葉と 分かりつつ |
この場面ではこの言葉と、気負うほど詰まってしまう |
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お |
おおらかに どもり公表 魅力増し |
どもりに限らず、弱点を堂々と認める人って魅力的 |
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か |
覚悟した ほどはどもらず 肩すかし |
睡眠不足で体調最悪、「これはもう、アカン」と思ってたら、案外スラスラしゃべれたり |
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か |
完璧な準備 不安があればこそ |
懸命に準備する気になるのは、大きな不安のお陰 |
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き |
禁じ手の 注意転換で サバイバル |
吃音矯正法としては禁じ手の「注意転換法」を、ときには駆使して切り抜ける |
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き |
気にならぬ 言われてかえって つらくなり |
「私、どもるんです」「いえ、気になりませんよ」・・・これは分かって貰えそうにないと、暗い気分に |
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く |
苦戦した しゃべりが心を 打つ不思議 |
脂汗を流しながらつっかえつっかえ話して、聞き手の心を動かすことも |
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く |
訓練で 治るの誤解 まだ解けず |
訓練で吃音が治ると思う人が、いまだにたくさん |
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け |
懸命に 一音一語 絞り出し |
99%の人が苦労なくしていることを、自分がどうこなしているか振り返ると、本当にふしぎ |
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け |
傑作の 駄洒落を今日も 断念す |
タイミングを計るうち、言い逃すことが多くて |
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こ |
困るのは 騒音背中 遠い場所 |
周囲が騒がしかったり、相手があちら向きだったり、席が離れていたりすると、本当に困ります |
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こ |
声が出た 嬉しさについ 長話 |
最初さえ出るとあとは楽に喋れることが多く、気をつけていないと、ついダラダラと話してしまう |
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さ |
先が気になり 朗読うわの空 |
どもる仲間は、たいてい学童期に悩まされます |
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し |
知らなんだ 古い知人の 吃音を |
吃音は分かることが多いのですが、相手が言ってくれるまで気付かなかった知人もいます |
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す |
吸い込んだ 息が却って 口の蓋 |
腹圧で声を出せと、余計話しにくくなる状態に誘導する「吃音矯正家」もいるようで |
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せ |
急かされても ペース守って 言うが勝ち |
これが分かっていても、つい「急かされて ペース乱され わやくちゃに」と、なってしまいがち |
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そ |
そっくりの症状 悩みは別次元 |
どもる状態が似た人でも、受けとめ方、悩み方は人それぞれ |
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た |
他の人も どもると知って 驚愕し |
最近増えてるかも、どもる人が他にもいると知らない人 |
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ち |
ちから得る 仲間の励まし その笑顔 |
セルフヘルプグループの良さを、素直に詠んでみました |
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つ |
つきささる 冷たいことば 「はよ治せ」 |
世の中、まだまだ無理解な上司もいるようです |
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て |
手探りで 日々の言葉を ひねり出す |
一語一語を手探りし、言い換えも駆使しつつの作業、それが吃音 |
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と |
遠くから 電話いやさに やって来る |
若い頃は電話が苦手で、少々遠くてもわざわざ出向いたりしました |
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な |
名を訊かれ 死を覚悟する 銃の前 |
誰何(すいか)を受ける場面を戦争映画で見ると、「ここで自分ならお陀仏だ」って思います |
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に |
二度と来ぬ どもりを真似る 前の日々 |
私がどもりになったのは、むかし同級生の吃音を真似たからです |
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ぬ |
抜きがたき偏見 どもり自身にも |
隠して一人で悩んでいる人が多いので、本人自身が吃音を誤解していることがよくあります |
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ね |
猫のごと 言葉とじゃれる 夢を見て |
軽々と言葉をあやつる知人を、羨ましく思ったりもしました |
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の |
のどと口の あいだが数万里に思え |
一旦ブロックが掛かると、こんな感じに |
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は |
吐く息に 乗れと念じて 声を押す |
今この瞬間、声が詰まるか詰まらないかは、いつも「出たとこ勝負」 |
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ひ |
人任せ 時に心の 健康法 |
どもりそうな場面の回避も、選択肢に用意して |
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ふ |
ふいに聞かれ 咄嗟に答えが 出る不思議 |
こんなことも、時には |
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へ |
ペラペラに 馴染んだ頃から どもり出す |
外国語ではどもらない、ってのは嘘で、スラスラ喋れるようになると、どもるのよね普通に |
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ほ |
本気さが 伝わる話術 我知らず |
流暢の極みのような喋り方より、訥々とした話しぶりの方が相手に伝わることも |
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ま |
マニュアルが 志望動機の 壁になり |
マニュアル通りに喋らなあかん場面が、多そうな会社は敬遠 |
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み |
見かけ上 分からぬことが 呼ぶ孤独 |
家族にも秘密にして、深い孤独の中に居る人も |
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み |
短か目の 電話も実は 吃のせい |
用件が終わったら、すぐ切ることもしばしば |
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む |
難しい 言葉すらすら 出ぬ名前 |
言い換えのきかない言葉、中でも自分の名前は本当に言いづらくて |
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む |
無理しても 伝えたいから どもります |
どうでもいいことは、口にしないで済ませたい |
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め |
面倒な 表現わざわざ 選ぶわけ |
どもるのを避けて、すいぶん優雅な言い方をしたり |
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め |
名刺出す そのタイミングで やっと言え |
初顔合わせでよくあること |
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も |
儲かるぞ 治る神話が ある限り |
吃音を治すと称し、とうに否定された矯正法や、その亜流を広める輩たち |
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も |
儲けもの 吃が広げた 我が視界 |
吃音を通していろいろと考えるうち、ずいぶん視野が広がりました |
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や |
やかましい ボリューム制御 ままならず |
小声だと詰まりやすく、つい大声で喋ってしまう人もいます |
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ゆ |
夢のよな 世にさえ絶えぬ 悩みの種 |
自動販売機が広まり、インターネットが発達しても、どもりの困り事は無くなりません |
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よ |
予想せぬ ものを頼んで 腹満たす |
ふと入った店で、思いもしなかったものを注文し、そそくさと掻き込んで、また表へ |
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ら |
「楽にどもれ」 それができれば 世話なくて |
随意吃って、無理な人には無理 |
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り |
利口過ぎと 言われて戸惑う こともあり |
どもるのを避けて言葉を選んでいる風情を、思慮深いと誤解する人も |
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る |
流浪先 おしのふりして 鎌を振る |
高名な吃音研究者に、若い頃しゃべれない人間になりすまし、農夫の日々を過ごした人も |
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れ |
レントゲンも のどの言葉は 読み取れず |
体を透視する装置で、出かかっている言葉を読み取って貰えればいいのに |
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ろ |
論争を 静かに制す 語り口 |
吃音とつき合う中で身についたという姜尚中さんの語り口、説得力があります |
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わ |
忘られぬ 印象のこす 大どもり |
初対面でひどくどもったら、強い印象をその場に残すのは確実。そのとき、「誠実で真面目そう」と思われるのも、「自信なさげで気が弱そう」と思い込まれるのも、本人の態度次第。 |
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