2018年8月〜2019年5月 『新生』掲載 吃音川柳・短歌
大阪吃音教室の機関紙『新生』に掲載された吃音川柳・吃音短歌を味わってください。

2019年5月号
言いやすい新元号でホッとする どもりでハッピー
例会の帰りはいつも吃茶店 レッツキッツ
釣竿のごとき吃音人生は折れぬ程度にギリギリしなる 堂森之宮人
教室の自分の席にカバン置く見られることはいつでも怖い 堂森之宮人
2018加西市文芸祭教育委員会賞
2019年4月号
朝礼でお早う言えずグッドモーニング レッツキッツ
どもってもちゃんとスピーチしたと言うあいつの話に嫉妬している 堂森之宮人
大切な何かを失くした夢覚めて残り続ける喪失感あり 堂森之宮人
2018河野裕子短歌賞入選
2019年3月号
ドキッとするドモホルンリンクル私だけ レッツキッツ
始業式の朝日昇れば糠床からタクアンを抜くように身を起こす 堂森之宮人
なぜ声を出すのがこんなに恥ずかしい声は裸で服着ておらず 堂森之宮人
2018岐阜市文芸祭入選
2019年2月号
随伴でクイズのように当てられる どもりでハッピー
剥きだしの赤い心はほらそこの紅葉の中に隠しておいで 堂森之宮人
吃音は治す必要のないものと教えくれしは我が恩師なり 堂森之宮人
2018羽島市文芸祭優秀賞
2019年1月号
時間割「国語」無き日はレモンスカッシュ レッツキッツ
醜態をさらしたその日寝てからもムンクの叫びが耳から離れず 堂森之宮人
声出せぬままの会議も終わるころ茶柱いつか沈むを見おり 堂森之宮人
2018年各務原市文芸祭佳作
2018年12月号
自己紹介地方訛りで切り抜ける レッツキッツ
つぶやいてオレの地声を確かめる一人っきりのトイレの個室 堂森之宮人
吃音の君の言葉を待つ間電車は過ぎて遮断機上がる 堂森之宮人
国民文化祭おおいた2018入選
2018年11月号
吃音のバリアフリーってあるのかな どもりでハッピー
「悔しい」とことばを当ててようやくに悔しくなりぬ無視されたこと 堂森之宮人
白魚がきらりと反転するように時折どもる君の独白 堂森之宮人
47回全国短歌大会佳作
2018年10月号
吃川で記憶高めて脳トレに どもりでハッピー
※「吃川」(きつせん)とは、吃音川柳。
面接を待つ控室は月面へ一人で向かう宇宙船の中 堂森之宮人
「タイムショック!」たとえ答のわかってもどもる私は答の言えぬ 堂森之宮人
2018年9月号
店員にメモ見せながら声を出す どもりでハッピー
運試しにサクマドロップを振ってみる白が出たならどもりが治る 堂森之宮人
いたずらではないと今ではすぐわかるどもる君からの無言の電話 堂森之宮人
15回契沖顕彰短歌大会入選