・日時:2026年08月21日~23日(金・土・日)
・会場:大阪府立少年自然の家
(〒597-0102 大阪府貝塚市木積字秋山長尾3350)
※伊藤伸二ブログに掲載された記事から、「第35回 吃音親子サマーキャンプ」報告の概要をまとめました。
「吃音の夏」の大きなイベントである、吃音親子サマーキャンプが無事、終わりました。
参加者は、コロナ以降、再開した2022年からの参加者ばかりです。
吃音を否定せず、「吃音と共に豊かに生きる」をベースにした、この吃音親子サマーキャンプ、35年間の中で培ってきた文化は、変わらず受け継がれ、引き継がれていることを、今年も感じました。
参加者は94名。21都道府県から集まった参加者、吃音にどっぷりつかり、楽しく、おもしろく、吃音の豊かな世界を味わいました。
今年から、会場が変わって、大阪府立少年自然の家での開催。ここは、全館貸し切りだと360人が宿泊できる大きな会場です。8月21・22・23日は、7~10の団体が使用することになっていました。食事の時間は2部制、入浴の時間も団体ごとに1時間と決められており、プログラム内容は変わりなかったのですが、細かい時間調整が必要でした。
全員が集まるオリエンテーションホールが使えるのが午後2時半からで、着いていきなりのフリータイムでした。そして、僕たちスタッフは、スタッフ会議をしました。その日、初めて顔を合わせるスタッフもいます。自己紹介をして、取り急ぎ、初日のプログラムを確認しました。
スタッフ会議中、若いスタッフが、ときどき子どもたちの様子を見回ってくれました。初参加の子が困っていないか、仲良くしているか、と見回ってくれましたが、問題はなかったようです。
2時半から、オリエンテーションホールという赤い絨毯が敷かれた、客席が階段状になった円形ホールで、入所のつどい、開会のつどいをしました。参加者を紹介しましたが、家族がばらばらになって、子どもは子ども同士、親は親同士が集まり、懐かしい再会をしているリピーター組、ドキドキしながら座っている初参加の人たちがいました。
活動1は出会いの広場です。毎年恒例で、千葉のことばの教室担当者の渡邉美穂さんが担当してくれました。円形ホールを意識し、上手に使いながら、たくさんのゲームを用意してくれました。徐々に参加者の表情が柔らかくなっていくのを感じました。子どもも大人も必死になって、エクササイズやゲームに取り組んでいました。
活動2は、吃音についての話し合いです。子どもたちは、小学校低学年、高学年、中学生、高校生の4グループに分かれ、親は3つのグループに分かれました。それぞれに、どもる成人とことばの教室担当者や言語聴覚士などの臨床家が、ファシリテーターとして入ります。特別な導入はなくても、話し合いが始まるのが、吃音親子サマーキャンプです。吃音についての話し合いは、吃音親子サマーキャンプの大切なプログラムです。
活動3は、合宿で演劇のレッスンを受けたスタッフによる上演です。参加者に、今年の演劇はこんなのだよと伝えることができました。子どもたちも、何の役をしようかなと考えながら見ていたようです。
1日目の終了は午後9時。子どもたちや親は入浴、そして就寝。スタッフはスタッフ会議で1日を振り返りました。
2日目の朝、サマキャン卒業生のスタッフを中心に若いスタッフが子どもたちに声をかけ、つどいの広場で、朝の遊びを始めていました。みんなも集まってきて、ラジオ体操をして、今日一日の予定を確認しました。
活動4の作文教室は、9時始まり。話し合いと同じくらい大切にしている「書く」時間、子どもも親も、スタッフも、吃音について、どもる自分について、考え、作文を書きます。ひとりで吃音に向き合う時間です。話し合いのときに元気だった子が、作文の時間、苦戦している姿もあります。少しお手伝いはしますが、基本は自分ひとりで向き合うことを大切にしています。
作文と同時並行で、参加歴1~3年のスタッフのための、吃音親子サマーキャンプ基礎講座をしました。吃音親子サマーキャンプが大切にしていることを肌で感じ取ってもらうため、2日目のこの時間に設定しています。吃音親子サマーキャンプのプログラムの3つの柱、話し合いと演劇と作文について、その意義を確認し合いました。このことは、毎回、全員で共通のものとして持っておきたいことです。
活動5は、話し合いの続きでした。
昼食の後、12時半からの活動6は、子どもと親が別々のプログラムになります。子どもたちは、グループごとに演劇の練習で、親は学習会です。今年の劇は、ミヒャエル・エンデの「モモと灰色の男たち」。声を出し、からだを動かし、劇の内容につながるエクササイズをして、読み合わせに入ります。進行は、グループごとにお任せしているので、どんなふうに進んでいるのか、僕は知りません。でも、いつでも、ちゃんと最後には仕上がっています。
親の学習会は、僕の担当です。子どもたちが、劇の練習とウォークラリーに行っている間、みっちりと学習します。
1. 吃音を知る 把握することの大切さ
2. 吃音者宣言 1976年
3. 対処能力=武器 アサーション、ナラティヴ・アプローチ、論理療法など
4. 対話の大切さ オープンダイアローグ
5. 日本語のレッスン
子どもたちは、午後3時半から、ウォークラリーに出発しました。結構けわしい道だったようで、帰ってきたとき、子どもたちは元気でしたが、スタッフの方が疲れ切っていました。
夕食の後、子どもたちは劇の練習、親はフリートークでした。
すべての公式プログラムが終わってから、スタッフ会議です。話し合いの様子、作文教室での様子、劇の練習の様子、ウォークラリーでの様子が、次々と語られ、スタッフがしっかりと、ひとりひとりの子どもたちの様子を把握してくれているのが伝わってきます。安心して任せておけるスタッフたちです。
長い二日目が終わりました。
いよいよ最終日。朝のつどいの後、朝食。その後、全員が部屋に待機して退所点検を受けました。活動開始は、午前9時からです。子どもたちは、初日にスタッフが上演した円形のオリエンテーションホールで、グループごとにリハーサルです。親たちは、談話室に集合して、恒例の親の表現の練習が始まります。親の表現活動は、これまでずうっと、工藤直子さんの「のはらうた」を使ってきました。話し合いのグループごとに、ひとつの詩を、立体的に構成していきます。
貝塚劇場の開演は、午前10時半。円形のオリエンテーションホールの階段状になった客席が埋まり、いよいよ始まりました。ダンス特集の親の表現がスタートしました。ダンゴムシの小さな足が動いている様子、メダカの群れが一列になって泳いでいる様子、ドジョウがくねくねと踊っている様子、弾けた親の姿に子どもたちも、スタッフもびっくりでした。
そして、メインは、子どもたちによる「モモと灰色の男たち」の上演です。竹内敏晴さんは、舞台に立つことを、自分をあとに引けないところに立たせると言われました。舞台という逃げ出せないところに立ち、自分を支え、どう表現するか、ことばをどう相手に届けていくか、子どもたちもきっと必死だったことでしょう。
アドリブが入ったり、あっと驚くような思わぬ演出があったり、スタッフの見本の劇とはまた違う「モモと灰色の男たち」の舞台がそこに立ち現れました。
終わった後は、みんなでこの3日間を振り返りました。
来年の日程は、2027年8月27・28・29日の2泊3日、会場は、今年と同じ大阪府立少年自然の家です。今年、参加されたみなさん、来年もお会いしましょう。今年、参加を迷っていた人、ぜひ、来年、ご参加ください。
いつまで開催できるか、わかりません。最近、僕たちはいつも、「今年がラストサマキャン」と思って、開催しています。
サマーキャンプに参加した人たちから、感想が届きました。たくさん送られてきた中から、ほんのごく一部ですが、紹介します。
・今年は2回目の参加でしたが、改めて、サマーキャンプの心地よい雰囲気を感じました。
2日目午後の親の学習会では、論理療法の話の際に、息子の話を出しました。心配は尽きないけれど、親としてはそんな気持ちも生じるのかな、それはそれでいいか、と思って、心配する気持ちにとらわれ過ぎないように、少し距離を置いて、自分の心配する気持ちに目を向けていこうと思います。
サマーキャンプの後、息子に来年はどうするかと聞いたら、「行く」と言いました。また来年もお世話になります。
・今年は初めてスタッフとして参加し、今までと違った視点でサマキャンに参加できました。話し合いでは小学5、6年生のグループに参加しましたが、話のなかで彼らの吃音に対する考え方を知ることができて興味深かったです。このサマキャンの場は、どもる子どもに対してアドバイスするようなものではなく、どもりについてみんなで話し合って向き合う場であるということにも改めて気づきました。
来年もスタッフとして参加してサマキャンという場を作る手伝いができたらと思います
・私は今回のキャンプで、自分の時間の使い方を考える機会を得ました。
そして話し合いでは、どもる当事者であるスタッフが多い中、私が話せることはないだろうと思っていました。それは何か役に立つ方法を提供できる自信が無かったからです。ですが、新人スタッフ研修の際に、伊藤伸二さんが「対話はゴールを目指さなくてよい。対話は続けることが大切」と教えてくださいました。そこから気持ちが楽になり、考えたことを言葉に出してみようと思えました。他の人の話を聞くことで、自分に新しい考えが生まれ、それを伝えたくていつの間にか話し合いに加われている自分がいたのにも驚きでした。
大人になってから本音で深い内容を話せる相手はごく限られていましたが、吃音キャンプでは小学生から大学生、自分より2倍くらい先輩の方々までみなさんと本音トークできて、楽しかったです。そんな素敵なみなさんにお会いできて嬉しかったです。
・「居るだけでいいから」と言ってくださった伊藤伸二さんのことばに導かれて10年ぶりに参加したキャンプでした。
幅広い年齢層のスタッフが互いに補い合い、調和し、明るく優しい空気を作り出していて、居心地のよい空間でした。皆、いい表情をしていましたよね。スタッフみんなで力を合わせて、今年もいいキャンプになり、参加者も楽しんでくれていて良かったです。
・最後に初参加の男の子が言った「自分以外の吃音の子に会えて良かった」という感想に自分の子どもの時の姿が重なり、思わず涙が溢れました。自分がずっと欲しかったのは仲間だったのかもしれない、今は仲間がたくさんいてとても幸せだということに改めて気づきました。
・吃音キャンプに行くと、皆さんが挑戦していく姿が見え、悩んでいることを質問するといろいろな考えや体験談を教えてもらえ、気持ちが軽くなります。
吃音キャンプに行くだけで、親の役目を果たしていると、私も心配しすぎず、暖かく見守っていきたいです。
息子なりに去年より積極的に質問したりしていたようで、自分のペースで少しずつ変わろうとしている姿に成長を感じました。高校2年生になり演劇部に入りましたが、まだ役はもらってないようなので、吃音キャンプで役ができて楽しかったと言っていました!
・今回参加して本当に驚いたのは、2年前途中で帰ろうとした青年が参加をしていたことです。2年前、気がかりのまま…どうしているかな…と思って終わった吃音キャンプ。その答えの途中経過を見せてもらった感じです。
言語聴覚士として、正直伊藤さんの考え方は少数派です。しかし、いろんな吃音の方がいるんだから、いろんなSTがいてもいいと思っています。論理療法などをもっと学んで、少数派でも自分で納得のいくSTとして吃音に向き合いたいと感じました。
1つ面白いなと思ったのは、自分の吃音への感じ方の変化です。吃音キャンプ参加1回目は、どもる人が多くて疎外感を感じる少数派の体験でした。2回目は、吃音の症状に慣れてきますが、症状が重いと少し構えるので自分で意識的に慣れさせていくような体験でした。3回目の今回は、無意識下で全く吃音の症状や随伴症状が気にならなくなりました。不思議ですね。一緒にかかわっていくと自然に気にならなくなる、当たり前になるんですね。毎回ながら、いろんな感動や考えさせられることが多い吃音キャンプでした。
・今年で5回目の参加になりますが、サマキャンは年々「第2のふるさと」のような場所になってきています。
サマキャンは吃音について学ぶだけでなく、子育てや自分自身の生き方についても振り返ることができました。吃音だけでなく日々のストレスとの向き合い方を考える上で大変勉強になりました。
息子からは、「今年も参加できてよかった」と聞いています。吃音のある仲間と毎年会えることは本人にとって大きな刺激になっているようです。
※伊藤伸二ブログに掲載された記事のリストです。
☆同ブログ 2026年08月24日「第35回吃音親子サマーキャンプ、無事、終わりました。今年もいいキャンプでした!」記事
☆同ブログ 2026年08月31日「第35回吃音親子サマーキャンプ ~渡辺貴裕さんのFacebookから~」記事
☆同ブログ 2026年09月03日「第35回吃音親子サマーキャンプ 1」記事
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☆同ブログ 2026年09月09日「それぞれにとってのサマキャン ~第35回吃音親子サマーキャンプ参加者の感想~」記事