2024年度 第33回吃音親子サマーキャンプ

2024年度 第33回吃音親子サマーキャンプ・概要

・日時:2024年08月16日〜18日(金・土・日)
・会場:滋賀県彦根市荒神山自然の家
    (〒522-0047 滋賀県彦根市日夏町字宮前4794番地)


伊藤伸二ブログに掲載された記事から、「第33回吃音親子サマーキャンプ」報告の概要をまとめました。

第33回吃音親子サマーキャンプは、大阪、三重など比較的近くからの参加、遠くは、沖縄、鹿児島、長崎、埼玉、東京、千葉などからも参加がありました。コロナで2回中止になって再開した2022年からの参加者がほとんどという新鮮なキャンプでした。

8月16日、第33回吃音親子サマーキャンプの初日です。河瀬駅に、自然の家行きのチャーターバスを用意しました。いつもの黄色い旗が参加者を出迎えます。初参加組はドキドキしながら、リピーターは1年ぶりの再会を喜び合いながら、バスに乗り込みます。

開会のつどいでは、まず主催者として僕があいさつをしました。2年前の吃音親子サマーキャンプに参加し、そこでどもる子どもを取材した映画監督・奥山大史さんの「ぼくのお日さま」の話をしました。そして、サマーキャンプに参加した2人の女の子の話もしました。結婚することになり、その結婚届けの証人になってほしいと頼んできたあおいちゃんのこと、2011年の東日本大震災で亡くなったりなちゃんのこと、僕は、この子たちのことを伝えていくのが大切なことだと思っています。

1日目の夕食後、1回目の話し合いです。親は4つのグループに分かれ、子どもたちは、小学2・3年生、5・6年生、中・高校生、きょうだいと分かれました。自分にとって大切な吃音の話題について、きっちりと向き合い、経験を話し、ほかの人の話を聞きます。その後は、スタッフによる劇の上演です。子どもたちに劇のあらすじをつかんでもらうことと、自分は何の役をしようかなと考えるときの参考にしたもらうこと、が目標です。ちょっと長い劇だったのですが、子どもも親も、真剣に見ていました。

2日目の活動は、作文教室から始まります。毎年恒例の光景ですが、どもる子どもも、その親も、きょうだいも、スタッフも、参加者全員が、原稿用紙に向かいます。話し合いは、みんなで吃音を考えますが、この時間はひとりで自分の吃音に向き合うのです。作文の後は、2回目の話し合いです。作文を書いたことが少なからず影響している子もいます。話し合いと作文がサンドイッチ状態になっていることは、絶妙なプログラムだと思っています。

午後は、劇の練習と荒神山へのウォークラリーです。からだをほぐし、声を出し、劇の練習に入る前の準備を、それぞれのグループでした後、いろんな役を交代でします。どもるとかどもらないとかは全く関係がないし、劇を上手に仕上げることが、重要なことではありません。子どもたちからのアイデア、アドリブを活かしながら、みんなで作り上げる楽しさを存分に味わっているようです。子どもたちが劇の練習をし、ウォークラリーに行っているとき、親は学習会を行っています。最近は、初参加の人が多いので、その人たちが持っている疑問・質問にはきちんと答えたいと思い、対話形式の時間にしています。どもる子どもに同行する親として、知っておいてほしいことがたくさんあります。今後、子どもが何かSOSを出してきたとき、一緒に考える土台となる知識・情報はもっていてほしいからです。

荒神山から無事戻ってきた子どもたちを迎え、夕食の後、親たちはやっと一息。フリートークの時間です。子どもたちは、劇の練習です。役の本決めをして、立ち位置も考え、練習に熱が入ります。

いよいよ、最終日となりました。朝食の後、子どもたちは劇のリハーサルです。その間、親は、子どもたちの劇の前座をつとめるため、「荒神山ののはらうた」の表現に取り組みます。話し合いのグループごとに詩を用意して、ふりつけを考え、からだ全体で表現します。

そして、いよいよ荒神山劇場のはじまりです。前座は、親のパフォーマンス。そして、子どもたちの劇「王様を見たネコ」が始まりました。どもりながら、でも、楽しそうに参加しています。アドリブも効いています。

荒神山劇場の後、卒業式をしました。今年は、小学4年生から連続7回参加し、今年高校3年生になった男の子が卒業でした。卒業証書を渡し、本人の挨拶、連れてきた親にも挨拶をしてもらいました。

最後にサマーキャンプ初参加の人を中心に、感想を聞きました。いくつか紹介します。

・誰も知っている人がいないので、参加する前は不安や心配があったけれど、我が子がどこにいるのか分からないくらい、すぐに仲良くなっていて、安心した。

・話し合いの時間が長くとってあるので、そんなに話すことがあるのだろうかと思っていたが、それぞれ深い話ができて、勇気づけられた。

・サマーキャンプがこんなに長く続いている訳が分かった。来年も、ここに帰ってきたい。



※この年の吃音親子サマーキャンプについては、スタッフ向けの事前レッスンからかかわっていてくれる渡辺貴裕さんと、この年に初参加したスタッフの感想が届いています。吃音親子サマーキャンプのことがよく分かる内容ですので、ぜひお読みください。