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2023年度 第32回吃音親子サマーキャンプ |
2023年度 第32回吃音親子サマーキャンプ・概要・日時:2023年08月18日〜20日(金・土・日) ※伊藤伸二ブログに掲載された記事から、「第32回吃音親子サマーキャンプ」報告の概要をまとめました。 無事、第32回吃音親子サマーキャンプを開催することができました。昨年、たくさんのリピーターが卒業式を迎えたことと、2年間の中断が影響してリピーターが減って、初参加が多く、2回目の人と合わせると8割くらいでした。 これまで自然と培われていた伝統や文化がどうなるのだろうと、少し心配でしたが、新鮮な出会いを楽しみながら、「今までどおり」は通用しないので、丁寧に対応していこうと思っていました。始まってみると、確かに最初は固い表情の人も少なくなかったのですが、だんだんと、毎年のように和やかな雰囲気になっていきました。 今年のプログラムは、コロナ前と同じ、フルバージョンで行いました。吃音についての話し合い、演劇、話し合いと話し合いの間に設けた作文、ウォークラリー、親の学習会、どれもサマーキャンプには欠かせない大事なプログラムです。 スタッフは、当日、初めて顔を合わせる者もいる中、子どもに対する目が温かく、子どもを大切にすることが自然にできているのがよく分かります。ひとりひとりが、その場で、それぞれの役割を果たしていること、そしてそれを信頼する仲間であること、自然に育まれるその雰囲気がなんとも言えず、居心地のいいものでした。このスタッフのチームワークは、本当に不思議で、とてもありがたく、誇らしく思います。 キャンプの初日、プログラムのスタートは、出会いの広場です。集会室に全員が集まり、声を出したり、ゲームをしたり、歌を歌ったり、グループに分かれてふりつけをしたり、固かった表情が柔らかく、穏やかになっていくのが見えました。 夕食の後は、第1回目の話し合いです。保護者は3グループに、子どもたちは小学校低学年と高学年、中・高校生は混合で2グループに、それぞれ分かれて、吃音について話し合いました。 夜の8時、全員が学習室に集合します。事前レッスンに参加したスタッフによる劇が始まります。荒神山劇場のオープニングです。7月に2日間の合宿で稽古をしたスタッフとしては、本番の劇の上演です。いいお客さんのおかげで、多少せりふをとばしたり、間違ったりもしましたが、それもご愛敬で、今年の劇「森は生きている」を演じました。 出演者はみな、楽しんでいました。その様子はしっかりと観客の子どもたちや保護者に伝わったことと思います。自然の家に到着したときの固かった顔が、緩んでいます。 2日目は、作文教室から始まりました。どもる子ども、保護者、きょうだい、スタッフ、参加者全員が、原稿用紙に向かいます。吃音にまつわるエピソードをひとつ、タイトルをつけ、様子がよく分かるように丁寧に書いていきます。この作文教室が、この時間に設定されていることも、僕はとても絶妙だと思っています。一日目の夜に話し合いをし、この作文の後にも話し合いをします。話し合いは、ほかの人たちがいる中で、触発されながら、自分のことを考えます。作文は、ひとりで、自分や自分の吃音に向き合う時間です。 作文と平行して、参加経験の浅いスタッフ向けのサマーキャンプ基礎講座を設けています。特に、初めて参加するスタッフは、ほとんど何も事前の打ち合わせをせず、サマーキャンプが始まります。とまどいの中で一日を過ごしたこの時間に、自分が感じた疑問や質問を出してもらい、僕やそのほかベテランのスタッフが自分の経験を話します。サマキャン卒業生も、ここで、サマーキャンプの舞台裏を知ることになります。一参加者として参加していたときとは違うサマーキャンプの意味づけができるようです。 午後は、親子別々のプログラムです。子どもたちは、劇の練習が始まります。昨夜見たスタッフによる見本の劇を思い出しながら、初めは、配役を決めず、自由にいろいろな役になり、やりとりを楽しみます。誰に向かってことばを届けるのか、相手のからだに届く声を意識して取り組みます。みんな、真剣に、でも笑いの中で練習が続きます。 そして、3時過ぎ、子どもたちは野外活動に出発します。近くの荒神山へのウォークラリーです。生活・演劇グループごとに出発です。ここでも、サマキャン卒業生スタッフが大活躍です。毎年、登ってきた荒神山、途中いろいろな話をしながら歩くこと、山頂での眺めの素晴らしさ、そんな楽しさを伝えるため、事前に打ち合わせを行い、出発前の説明も自主的にしてくれています。 子どもたちの活動と並行して、保護者は、親の学習会を行います。今年は、初参加者が多いこともあって、参加者から質問を出してもらい、それに答えていきました。何度か強調したのは、親の課題と子どもの課題を分けること、どもる子どもをかわいそうと思わないこと、子どもの力を信じて見守ることの大切さでした。 荒神山から帰ってきた子どもたちと合流して夕食です。食事の後は、子どもたちは、劇の練習です。保護者は少し休憩をかねて、フリートーク。午後の学習会の疲れを少し癒やしていただきました。 サマーキャンプ最終日、朝からいいお天気でした。空の青さと、荒神山の木々の緑が、目にまぶしい朝でした。朝食後、子どもたちは、劇の最後の練習です。上演場所となる学習室でのリハーサルを順番に行いました。そしてその間、保護者も、表現活動に取り組んでいました。 午前10時、荒神山劇場が開演しました。保護者の前座「荒神山ののはらうた」の後、子どもたちによる「森は生きている」の上演でした。どちらも見事でした。どもりながらも、せりふを言い切る子、声を届ける相手の存在を確認してせりふを言う子、短い時間にせりふをしっかり覚えてしまった子、普段の学校では劇に出ることなどないのに今回は役を全うした子、おもしろいアドリブを考え、それを取り入れて受けたので大喜びの子、たくさんの子どもたちのいきいきした姿を見ることができました。 たくさんの人が、例年以上に「参加してよかった」と具体的なエピソードを添えて感想文を送ってくれました。サマーキャンプが大切にしてきたことをしっかりつかんでくださったことが、とてもうれしかったです。 ☆同ブログ 2023.08.24「第32回 吃音親子サマーキャンプ、無事、終わりました」記事 ☆同ブログ 2023.08.31「「吃音の夏」のしめくくり 第32回吃音親子サマーキャンプ 一日目」記事 ☆同ブログ 2023.09.01「「吃音の夏」のしめくくり 第32回吃音親子サマーキャンプ 二日目」記事 ☆同ブログ 2023.09.03「「吃音の夏」のしめくくり 第32回吃音親子サマーキャンプ 最終日」記事 ☆同ブログ 2023.09.05「濃密な3日間をふりかえって 〜第32回吃音親子サマーキャンプに参加しての感想〜」記事 |