2019年度 第30回吃音親子サマーキャンプ

2019年度 第30回吃音親子サマーキャンプ・概要

・日時:2019年08月23日〜25日(金・土・日)
・会場:滋賀県彦根市荒神山自然の家
    (〒522-0047 滋賀県彦根市日夏町字宮前4794番地)


伊藤伸二ブログに掲載された記事から、「第32回吃音親子サマーキャンプ」報告の概要をまとめました。

30年欠かさず続けてきた「吃音親子サマーキャンプ」も、いつもと変わらないプログラムです。一日目最初のプログラム「出会いの広場」で、いきなり初参加者も含めてグループに分かれ、パフォーマンスを話し合い、練習し、披露しました。そのころには、たった1時間くらいなのに、参加者がすっとうちとけていました。初めての参加者の顔がほころんできたのが印象的でした。

この年の吃音親子サマーキャンプは、朝日新聞で大きく取り上げられました。記者が事前取材から始め、サマーキャンプにフル参加して取材し、「吃音とともに豊かに生きる」という考え方を含めて、私たちの活動をしっかり紹介した記事でした。

サマーキャンプ2日目は、作文からスタートします。この時間は、サマーキャンプの大切なプログラムのひとつです。前の日の夜、年代ごとに分かれて1回目の話し合いをしました。そして、それから眠る前の時間は、話し合ったことを振り返り、熟成する時間になっているのだろうと思います。そして翌朝、自分や自分のどもりに、ひとりで向き合う時間が作文の時間です。作文の後は、2回目の話し合い。作文の時間を過ごしてきたことの効果はあるようで、さらに深い話し合いができたようです。

3日目の最終日。午前10時からの劇の上演に向け、子どもたちは、このキャンプで3度目の練習をし、リハーサルをします。そして、この短い時間に親たちも、グループごとに集まって表現活動の練習です。そして、いよいよ本番。先ず親たちのパフォーマンスがあり、子どもたちの劇です。今年の劇は「コニマーラのロバ」。それぞれに練習してきたことを、せいいっぱい表現しました。

劇の上演の後は、恒例の卒業式です。今年も2人の高校3年生が参加しました。卒業証書授与の後の本人のあいさつでは、どの子もメモを見ず、その場で浮かぶ自分の思いを大切に、自分のことばを紡ぎ出して、みんなに語りかけます。どもりながら、でも、まぶしいくらいに輝いている卒業生です。

今年は2人の卒業生のほか、昨年まで連続で参加していて、今年どうしても参加できなかった高校3年生の、お母さんから手紙も読み上げました。

卒業生のあいさつを紹介します。

・これまで生きてきた中で、どもりでよかったなと思える18年ではなかったかもしれないけれど、どもりでも悪くはなかったなと思える18年でした。

・今まで支えてくれて、辛いときに話を聞いてくれて、本当にうれしかったです。

・来年は、スタッフとして来ようと思うので、来年もご縁があれば、お願いします。

もう一人の高校3年生は、こんな話をしました。

・私はこれまで自分と向き合うことが怖くて、逃げてばかりいました。

・私は、吃音親子サマーキャンプに参加して、明るくなりました。それは、自分のことばをこんなにあったかく待ってくれる人がいると気づいたからです。

・キャンプで、人は聞いてくれるのだと思ってからは、人間関係も良くなり、前に比べてどもれるようになりました。どもらないように避けて通ってきたのが、どもれるようになって楽になったのです。