吃音者への温かいメッセージ
『知っていますか? どもりと向き合う 一問一答』感想文

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西田 逸夫(50代 団体職員)

 
 この本には、「どもっていてもあなたは大丈夫です」という、吃音者への温かいメッセージが、いっぱいつまっています。
 
『知っていますか? どもりと向き合う 一問一答』  中でも私が一番心動かされたのは、吃音親子サマーキャンプでの小学生同士の話合いの記録に出て来る、次の話です。
 あるどもりの子が、どもる友達と一緒に遊んでいたら、別の子どもたちから「なんでお前らだけ二人だけ、どもってるんや」と言われます。「ほかにもいるねんぞ」と言っても、相手は信じてくれません。
 そこでこの子は、前の年のサマーキャンプで自分たちがやった劇を撮影したビデオテープを、学校に持って行ってクラスで見せます。「みんなにいっぱい吃ってる人がいるのを知ってもらうため。吃りながら、僕たちはがんばっているんやと」分かってもらうため…。こうして見事にこの子は、クラスの中にどもりのことを知る友だちを増やしたのです。
 
 同じどもりと言っても、人によって抱えている問題はさまざまです。百人の抱える問題には、百通りの解決法を、その問題に関わる人たちが探す必要があるでしょう。
 それでも、「どもっていても自分は大丈夫なんだ」という、自分自身に対する深い信頼があれば、この子のような智恵も生まれ、行動をうながし、うまく行けば問題を軽くすることが出来ます。
 
 この本には、どもりの問題の、重さもつらさもいっぱい書いてあります。「どもりは治らない」とまで書いてあります。それでも読んで安心でき、元気が出て来ます。
 吃音に悩む人。吃音の子どもを持ち、どうしようと思っているご家族。吃音の子どもにどう接すればよいかと考えている先生。そんな方たちに、ぜひ読んで欲しい本です。
 

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