「12人の怒れる男」特集

 

「12人の怒れる男」ひとくちメモ

1957年製作アメリカ作品
■製作 ヘンリー・フォンダ
■製作・原作・脚本 レジナルド・ローズ
■監督 シドニー・ルメット
■撮影 ボリス・カウフマン
■音楽 ケニヨン・ホプキンス
■出演 ヘンリー・フォンダ/リー・J・コップ/エド・ベグリー/E・G・マーシャル
★ベルリン映画祭金熊賞
■管理人から一言

「12人の怒れる男」は名優、陪審制度を題材にした「人が人を裁くこと」の難しさを、12人の陪審員による壮絶な討論を軸に描いた傑作。舞台は蒸し暑い陪審員室。作品の時間経過も観賞時間と同じという徹底したリアリティ。あたかも自分がその討論に参加しているのでは・・・と思わせてくれる手に汗握る作品です。
■どんな裁判だったのか?
ネタばれはありません。未観賞の方も気軽に読んで見て下さい。
裁判の内容は観賞前に把握しておいた方がよりリアルだと思います。
どんな裁判 スラム街で起きた殺人事件の裁判。被告は18才の未成年で被害者はその父。事件現場はスラム街にある高架線路沿いの被害者と被告の自宅アパート。(写真は被告)
凶器 飛び出しナイフ。それもナイフ販売店の主人が「とても珍しいデザインのナイフ」と証言しているもの。事件の直前に被告がこのナイフを購入したことも確認済み。
動機 被告は暴力的な父親に殴られ続けるといったすさんだ日々を送っていた。スラム街という土地柄被告は日常、喧嘩にあけくれていて、飛び出しナイフの扱いにも慣れている。
目撃者・証言者 殺害現場の階下に住む片足の不自由な老人が、死亡推定時刻(午前0時10分)に殺害現場(上の階の)から「バタッ」と何かが倒れる音を聞いたため、不審に思い、奥の寝室から玄関に向かい自宅のドアを開けた瞬間、上の階段から走り降りて、階下へ逃げ去る被告を目撃している。更に同時刻、高架線路を挟んで向い側にあるアパートの中年の女性が蒸し暑く寝つけないことから窓を明けっ放しで寝ようとしていたところ、「ぶっ殺してやる!」という罵声を聞きつけ、ふと向側のアパートを見たところ、ちょうど通過中の回送電車の後ろ2車両の窓越しに、被告が被害者に飛び出しナイフを振り落としているところを目撃している。警察の捜査の結果、夜間の回送電車は消灯して運転しているため、電車の窓越しでも被害者宅の内部は、この目撃者の自宅である夫人の向側のアパートの部屋から十分犯行が見えることを確認している。
事件の経緯 午後8時に父親に殴られる。その後被告はす外出し古道具屋へ行き、ナイフを購入。午後8時45分にバーで友達の逢い、その際に友達が被告の購入したナイフを確認しておりこのことは被告も認めている。午後9時45分に友達と別れて午後10時に帰宅。

被告と検察側の証言が異なるのはここから先。

(被告の証言)
被告はその後、午後11時30分に再び外出し映画館へ行き、映画を観賞後翌日の午前3時過ぎに自宅に帰ったところ、いきなり警察に捕まったと主張。しかし、その時の尋問で被告は観た映画の題名を覚えておらず、映画を観たという証拠もない。ナイフは映画館でなくしたとも証言している。

(検察側の見方)
実際は映画館には行っておらず、午後10時に帰宅後、再び父親と口論となり、被害者の長年の度重なる暴力に耐えていた忍耐にも限度が来て、思いあまってナイフで殺害。スラム育ちでナイフの扱いに慣れている被告であるため、指紋を拭き取る余裕はあったものの、さすがに父親の殺害と言うことでパニック状態となり、その場を立ち去ったが、後に凶器がそのままでは自分の犯行がばれると判断。凶器を隠ぺいするために午前3時に自宅に戻ったところを警察に確保されたと見ている。

このように裁判の経過は明らかに有罪。裁判官は12人の陪審員にこの裁判の結果を踏まえて慎重に議論し、全員一致の判決を出す様に命じます。彼らの判決が「有罪」であれば、被告の情両酌量は一切認めず第一級殺人罪として死刑。「無罪」であれば審議やり直し。被告の命は12人の陪審員に委ねられました・・・。

さてさて・・・この裁判の陪審員として集められた12人の男達は、被告にどんな判決を下すのでしょうか?

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